フィリピン、カタンドアネス島の猫たち

近所の子供たちがこねこを2匹抱いて遊びに来た。私のねこ好きを知っているから、 喜ばせようとして連れて来てくれたのだ。
「かわいいね」「一緒に写真撮ろうよ」。

写真を何枚か撮ったあとで、 「このねこたち、誰の?」と子供たちに聞くと、誰も自分のだと言わない。
一人が「あなたの。」えっ?私の??ちょっと待ってよ、もらっても困るんだけど..

外出して戻ってくると、ドアの外側のほんの10センチくらいの敷居の上で、 2匹がくっつきあって眠っていた。
ドアをあけると、こねこたちはためらうことなく 部屋に入ってくる。めいりんが戻ってきて、こねこたちを威嚇した。 めいりんの機嫌を損ねないために、とりあえずその夜は別の、自由に出入りできる建物の中に置いてきた。

翌朝、子供たちがまた集まってきたので、 おじさんに「昨日のこねこたち、いる?」と聞くと、 おじさんはにこにこしながら、大切なもののように両手で包んで茶色の子を運んできた。 「一匹だけ?もう一匹の白いのは?」「ワラ(いない)」
そんなに遠くに行くはずもないのでまたすぐに見つかるだろうと思いながら、 「このねこはほんとにかわいいんだけれど、日本に連れて帰ることはできないの」と 子供のひとりにこねこを手渡すと、うなづいて受け取った。

そのまた翌朝、どこかからこねこの声がする。それも海のほうから。 なんと砂浜のくぼみに昨日の子がいた。日差しをさえぎるもののない海岸に置き去りにするなんて..。 連れて帰って猫缶を開けてあげると、うー、うーと言いながら食べた。食べ終わると 私のあとをついて来て、自分でコテージにはいった。においをかぎながら、 2日前にもう一匹と一緒に探検したあたりを動き回っている。 いなくなったきょうだいを探しているのだろうか。


(1998年11月24,26日撮影)

その後、あのねこたちのことを聞くことができた。隣りの家で飼っているという。 2匹とも?と聞くと、1匹はしばらくして死んでしまったということ。 でも、きょうだいそろって世話をしてもらうことができたと知って、安心した。 あのまま2匹ともいなくなったりしていたら、私も責任を感じてしまうから..